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住宅・企業の誘致促進、森林整備と鳥獣被害、公営霊園について(令和5年度第1回定例会)

#市議会一般質問 2023/08/26公開
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議席番号10番、後藤英夫で ございます。 議長の許可をいただきましたので、通告に従い、質問させていただきます。

今日の1点目は、住宅・企業の誘致促進について、それから2点目は、森林整備と鳥獣被害について、最後に3点目は、公営霊園について、順次質問していきたいと思います。

1点目の質問と2点目の質問は、今まで多くの議員が質問してまいりましたが、報道などによりいろんなことが分かってきたこと、また、市民の関心もいまだ高いことから、重複した質問になるかもしれませんが、答弁のほどよろしくお願いいたします。

 

後藤議員

まず1点目ですが、皆様もご存じのとおり、台湾の大手半導体メーカー、TSMC社の菊陽町への進出、それから関連企業などの県内への進出など、本市を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。報道などによりますと、TSMC社とは、時価総額約68兆円を超える企業で、世界第9位、これは2021年12月のデータですが、とてつもなく大きな企業です。事業内容は、ファウンドリ、それから、半導体装置の製造販売ですが、ファウ ンドリの売上世界シェアは約半分で、独走状態が続いています。
 
経済の安全保障という視点からも、国策として誘致されたこの企業は、投資総額1兆円、県内の産業界に対する戦後最大のインパクトと言われています。その大企業であるTSMC社が、過半数以上出資している子会社がJASM(ジャスム)社 で、現在、菊陽町に建設中で、来年度末までに生産開始を目指しているそうです。
 
菊陽町などによりますと、そのJASM社の社員についてですが、総人口見込み約1,700人のうち320人がTSMC台湾からの駐在員の方々と、そういった情報もあります。その方々のご家族を含めますと、約600人強が長期滞在予定となる可能性があるそうです。今年中には来日の可能性があるとのことで、車で30分圏内の本市としましても、本市の魅力を生かした観光や食事、それから温泉など、 おもてなしができたらと思います。
 
また、それだけではなく、住居として選ばれるような努力も必要ではないでしょうか。熊本県の取組ですが、県内の不動産業界団体に情報提供し、住宅の確保について協力を依頼、また、インターナショナルスクールや、公立、私立学校等での受入れ に向けて、県の教育環境部会で調整がなされています。
県としても住宅の確保と子どもたちの学校受入体制整備が喫緊の課題だと捉えているようです。
 
TSMC社の本拠地である台湾の新竹市の発展に関する考察も重要だと考えます。TSMC社は、主にファウンドリなどロジックを担当する企業ですが、ロジックのみならず、DRAM、NANDといったメモリ、それから、パワー半導体、アナログ半導体、イメージセンサーなど、関連する企業も進出する可能性は高いと考えられます。設計製造のほかにも、設計支援や製造装置、素材などの企業、それから、二次下請企業の進出も十分考えられるんじゃないでしょうか。
 
今や、時の町と言われるお隣の自治体では、人口が7万人になるとか、企業からの問合せなどが十数件に上ると言われていることもあります。また、地価の高騰も著しく、菊陽町の原水駅前は坪単価が60万円と、そういった話も聞きました。か なり高騰しているようです。それから、その自治体など土地が値上がりしておるところは、工場から近いというのもありますが、企業誘致や住環境の整備など、そう いったことも含め、以前から地域の活性化に向けて努力してきた結果だと思います。
 
今こそ、本市のたくさんの魅力を生かして、住宅や企業の誘致をより大きく進めるべきだと思います。追い風はまだまだあります。来月23日には、熊本地震からの創造的復興のシンボルである新しい熊本空港ターミナルビルが開港し、また、熊本空港へのアクセス鉄道も、本市の隣町にある肥後大津駅からの延伸が決定しております。
それから、中九州自動車道路や熊本市への連絡道路の計画段階評価も始まり、将来、本市の近くまで整備されてくるようです。
 
本市では、市の工業団地は全て埋まり、今は二つ目の県の工業団地の用地買収に向けて、一生懸命に取り組んでいらっしゃると伺っています。また、国道325号の4車線化については、残すところ、森北区から大琳寺区までの3.6キロメート ル区間が、今後、工事に取り組まれる予定で、バイパス区間は来年度の部分供用がされるようです。
今後の進捗が楽しみであり、市民も朝夕の車の混雑がなくなるのではと期待している方も多いと思います。
私は、今、住宅・企業の誘致促進については、百年に一度あるかないかの大きなチャンスだと思います。
 
市民もどれくらいの数の企業が来ているのだろうか、人口が増えるのだろうか、期待と不安があり、関心がとても高まっております。もちろん誘致するには条件が整った土地が必要になってきます。
土地には法令上の制限はさることながら、埋蔵文化財保護法や農地法、それから、環境アセスメント法などの様々な法律が存在します。
また、必要なインフラも整っている必要があります。そのことも踏まえながら、住宅・企業の誘致促進に関する本市の考え、これはゾーニングやグランドデザインなどのことですが、そういったことや課題、それから、住宅・企業の誘致促進に伴っての将来の人口予測、それから、今まで多くの企業等 から問合せ等があったと思いますが、その数を教えてください。

建設部長

ただいまのご質問にお答えいたします。
まず、住宅推進につきましては、半導体関連企業の進出に係る道路・交通・住環境部会において、民間との懇談会も開催しながら、将来的なまちづくりも念頭に、多方面から施策や方向性を検討してまいりました。
それを踏まえまして、住宅の推進については、年々、高まる住宅需要に対する早急な対策と、将来を見据えた新たな開発に対するゾーニングの設定など、中長期的な視点から進めたいと考えております。
まずは、早急な対策としまして、民間の開発に対する補助金を新設し、誘導や推 進を図ってまいりたいと考えております。
 
また、長期的な観点からは、将来を見据えた住宅推進のためのゾーニングを設定し、原則、民間主導の開発に合わせた支援も検討してまいりたいと考えております。なお、課題としましては、ゾーニングをする上での農業振興との両立やインフラ整備、また通学距離など、比較検討する課題も多くあると感じております。
今後は、民間の動向調査を行いながら、適地を選定してまいりたいと考えております。
 
今後の人口予測につきましては、将来的にどのような企業が、どのくらい進出するのか不透明な部分もありまして、予測は難しいところでございます。このチャンスを生かし、良好なまちづくりを念頭に、少しでも人口増を目指してまいりたいと 考えているところでございます。
以上、お答えいたします。

経済部長

それでは、企業誘致に関しましては、私のほうでお答えさせて いただきます。
前回の令和4年第4回定例会の平直樹議員の一般質問への答弁と一部重複いたし ますが、お答えいたします。
 
まず、企業等からの問合せ数につきましては、倉庫業や運送業などの新規工場用の空き地を探す相談が変わらず多数あっております。また、既立地企業からの拡張・増設の要望も数件あっているところでございます。
 
次に、企業の誘致促進につきましての本市の考え方でございますが、第一に、市営の工業団地は、先ほど議員申し上げられましたとおり完売しておりますので、引き続き県営の新規の工業団地の造成について、県に全面的に協力していきます。
第二に、本市に立地する企業からの要望等に対応するためのフォローアップや、進出を計画されておられます企業の相談等の充実を図っているところでございます。
企業などからの相談の多くが、ある程度の大きさの面積が確保できて、平たんで造成しやすいといった面からか、農振農用地区域に指定された場所を適地として検討されていることが多い状況でございます。その際、開発に当たっては、農振農用地区域から除外を行う必要がございまして、原則転用不可とされる第一種農地もまた多く含まれているところでございます。
 
本市の基幹産業であります農業を守っていくためには、優良農地を保全しながら、同時に経済活性化及び雇用の確保のための企業誘致も推進する必要がございますので、そのバランスをとりながら促進を図ってまいる考えでございます。
以上、お答えいたします。

後藤議員

企業や住宅メーカーなどは、本市だけではなく、当然いろんな地域を模索していると聞いています。
時間がかかり過ぎたら諦めて、ほかの地域へ行く可能性が高いのではないでしょうか。問合せや相談があった場合、極力横断的な対応をしていただきたいと思います。
 
先ほど農地法からいろんなことが、制限があるということで、バランスをとりながらやっていくということでしたけども、本市は、特に本市特有の埋蔵文化財など、そういったところも私は考えていかなければならないのではないかと思います。
 
本市は「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当する土地が多く、企業や開発業者サイドは、埋蔵文化財の発掘調査など必要なコスト、それから調査期間も考慮しなければならないと思います。埋蔵文化財の発掘調査は、基本的に原因者負担だと思いますが、発掘調査には確認調査と本調査とがあると聞いています。
そのことも含め、ちょっと概要をよかったら教えてください。

教育部長

それでは、ただいまの埋蔵文化財 の発掘調査の概要について、お答えいたします。
 
埋蔵文化財は、その地域の歴史・文化環境をつくる重要な要素であることから、その保存に努める必要がございます。
このため、埋蔵文化財包蔵地を開発する際には、文化財保護法にのっとった手続が必要であります。開発事業者等からの届出により事前に市のほうで確認調査を行い、埋蔵文化財の有無や、範囲、時代背景等を確認いたします。
このほか、埋蔵文化財包蔵地以外の開発に際しても、周囲の状況等から埋蔵文化財の存在がうかがえる場所であれば、試掘調査を実施することもございます。
 
試掘・確認調査の結果、埋蔵文化財が存在することが分かり、開発により影響を受ける場合は、市と開発事業者等の協議により、記録保存のための発掘調査、いわゆる本調査を実施することになります。
この本調査の費用負担については、平成10年、文化庁から発出された「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について」の通知等により、開発事業者等に求めることなど、全国的な統一基準となっております。
 
また、試掘・確認調査につきましては、開発事業者等の届出等に基づき、市の費用により速やかに実施しているところでございます。近年においては、年間約40件程度、行っているところでございます。
以上、お答えします。

後藤議員

企業側はコストがかかるか、かからないか、そのことも気にしますが、一番気になるのは開発期間だと思います。
 
確認調査に限っては原因者負担ではなく、市が行うという答弁でしたが、大きな費用がかからないのであれば、確認調査ということであれば、ゾーニング等により市が妥当と判断し、市民の要望もあるところであれば、そういった地権者の同意が得られた場合は、先行してその求めに応じて、確認調査を行う、試掘を行う考えはありませんか。お願いします。

教育部長

それでは、今のご質問にお答えします。
 
市としましては、ゾーニングの有無にかかわらず、開発事業者等の事業計画に基づいた届出があった場合、あるいは地権者の同意のある調査依頼があれば事業が未確定であっても、試掘・確認調査を実施しているところでございます。
今後、市の方針でゾーニングを行い、その方針を市民等にお示しすることは、企業誘致等の呼び水として有効であると考えておりますので、その認識を持ち包蔵地等に該当する場合は、試掘・確認調査業務に取り組んでまいりたいと考えておりま す。
 
その一方で、試掘・確認調査は埋蔵文化財の掘削を行うこととなり、破壊する行為であるため、必要最低限にとどめるべきと考えております。
以上、お答えします。

後藤議員

ありがとうございました。
企業がどんな目的を持って、どんなものを造ろうかと、そういったプランを持って当然くるわけですが、市が率先してそういったことを進めていただければ、企業側というのは選択肢が広がり、どれぐらいのコストや期間がかかるのか判断できて いいと思います。
確認調査が済んでいれば、後日のコストや期間など判断材料になると思いますし、建屋、駐車場などのレイアウトを工夫し、より低コストに、それから開発期間短縮につながり、企業誘致が促進できると考えます。過去の日本はトゥーレート・トゥーリトルと言われてきました。
 
TSMC社は、当初、アメリカのアリゾナ州に進出する可能性があったと聞きました。しかし、日本がスピード感を持って大きな予算をつけ、誘致を促進したことは、企業側が評価し、本日につながったと聞いたことがあります。
今や日本はトゥーレート・トゥリ トルではなくなったと。
本市もこのターニングポイントである百年に一度の好機を逃すことなく、住宅・企業の誘致促進を進めていただきたいと思います。 次の質問に移ります。

後藤議員

次に、2点目は、森林整備と鳥獣被害について。
今月に入り、本市旭志区の原野を見に行きました。広大な面積で傾斜が大きく、辺り一面にクヌギが植樹されていました。地元の方のお話では、昔は椎茸用にクヌギは1本2,000円程度で売れていたが、今は600円ぐらいにしかならないと嘆いておられました。
また、後継者が少なく、将来、山の管理面について大変心配しておられました。本市の林業、それから、椎茸産業を守り、育てていく必要性を強く感じました。
 
林野庁のホームページを見ますと、森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、木材をはじめとする林産物の供給など、多面的機能を有しており、国民生活及び国民経済に大きく貢献しています。
このような機能を持続的に発揮しつつ、林業の成長産業化を実現していくためには、植栽、保育、間伐等の森林整備を適切に行うことによって健全な森林を造成し、資源の循環利用を進めていく必要があります。
特に我が国の森林が利用期を迎える中、森林施業の集約化や整備を通じ、施設の低コスト化を図りつつ、計画的に間伐や伐採後の再造林等の森林整備を進めることが重要です。
 
また、奥地等の条件不利地や、気象害、鳥獣害等を受けた被害森林のような林業的な取組で対応できない森林については、公的な関与による森林整備を強化することが必要です。
本市でも過疎化や少子高齢化が進む中、相続に伴う所有権の移転登記がなされていないことなどにより、森林所有者の一部が不明な森林や、森林所有者の全部が不明な森林が生じ、森林を適切に経営管理していく上で支障が生じる状況が見受けら れます。
 
森林経営管理法が施行されてもうすぐ2年、また、国は新たな森林管理システムを始めるに当たり、その財源として、人口や面積などでそれぞれの自治体に振り分けられる森林環境譲与税という制度をつくりました。交付が2019年度より始まっており、森林環境税の納付義務は2024年度から始まります。
以上のことを踏まえ、森林整備に関する本市の考えや課題について教えてください。
 
次に、2点目の2番目ですけども、鳥獣被害に関する現状と対策について質問します。
鳥獣被害に関する議員の一般質問は今まで数多く行われ、それだけ市民の関心も高く、また、農作物等の被害報告、それから、多くの市民や猟友会からも鳥獣被害対策に関する要望が寄せられています。
 
私は有志議員とともに、5年程度前ですが、わなの免許を習得し、それから多くの勉強会や研修会、それから現地調査等に参加させていただきました。その内容は、多くの議員からの一般質問が今までなされており、今回は割愛しておきますが、前回の平議員の質問、それから緒方議員は主にイノシシを、それから猿渡議員はシカについて、それぞれ質問されたと思いますが、今回、私はその続きとして、鳥獣被害に関する現状と対策について質問をしたいと思います。
 
昨年12月には市内の現地調査を行い、農業団体などに聞き取りをいたしました。
実際の被害状況と農業団体などに届けられた被害状況とでは大きな開きがあるようです。本市は今年度、アンケート調査を行っているとのことですが、今月が締切りだと思います。アンケートの経過と現時点での状況について教えてください。
それから、有志議員の勉強会で学んだことですが、森林環境譲与税は、法律上、その使途として、森林の整備に関する事業、森林に関する人材育成、森林利用に資するものの3点でありますが、林野庁としては、各自治体からの具体的に使用できるものを例示してほしいとの要望もあったので、ポジティブリストを作成して、自治体に渡しているとのことです。
 
使途として、森林整備に関するものの理屈が立てば自治体の裁量で予算措置をするのも可能とのことですが、本市はシカ対策だけでなく、イノシシ対策にも森林環境譲与税を活用できますか。これは昨日行われた予算決算常任委員会で木下議員が質問し、答弁され、重複すると思いますが、一般質問という形で改めて問いたいと思います。
本市の考えをさらに詳しく教えてください。

経済部長

それでは、ただいまのご質問にお答えします。
まず、本市の森林整備に関する考えや課題についてお答えいたします。本市の森林面積は1万5,174ヘクタールでございまして、菊池市の総面積の 約55%を占めております。自然環境条件は森林の育成に適しております。
市の北部地区は、県内でも有数の人工林地帯を形成しておりまして、スギ・ヒノキを主に、林齢は55年生から56年生をピークに分布しておりまして、収穫すべき段階を迎えている状況でございます。
 
課題といたしましては、木材の需要・価格の長期低迷等が続いたことによりまして、森林所有者は森林経営の意欲が薄れ、間伐などの整備が十分に行われていないこと、また、林業担い手の高齢化や減少、さらに近年の気候変動による自然災害が多発していることなどが挙げられます。
このため、森林が持つ公益的機能の維持管理について、適切な森林整備が必要でございまして、先ほどの課題を解決するため、現行の各種事業に加えて、森林環境譲与税を活用した新たな各種事業を創設してまいりたいと考えております。
また、令和5年度から当面5年間における森林環境譲与税の活用に関する本市の考えを「森林環境譲与税の活用に向けた基本方針」と題しまして、今後、市のホームページで公表を予定しているところでございます。
 
続きまして、2点目の本年度に実施しております農林作物の鳥獣被害アンケート調査の経緯と現時点での状況につきましてお答えいたします。
昨年末におきまして、市内の農地で営農されている法人を含めた約2,000人の農業者の方にアンケート調査票を配布しております。その回答期限は本年の2月末日となっております。
2月17日現在ではございますが、その状況をお答えいたします。

現時点で約200人の方より被害の報告が上がっております。集計の途中のため、具体的な被害額は割愛させていただきますが、昨年度を大きく上回る被害額が想定されているところでございます。
さらには、これまで十分把握できていなかったイノシシによる椎茸やタケノコの被害についても、食害や掘り起こしの被害が確認できたところでございます。
 
したがいまして、今後は、イノシシ対策の費用についても森林環境譲与税を活用できることになりますが、どの程度まで活用できるかは現在のところ分かりかねますので、アンケート集計後の結果を基に、県の判断を仰ぎたいと思っているところ でございます。
以上、お答えいたします。

後藤議員

森林は、土砂災害の防止や水源の涵養、生物多様性などの保全、木材の生産などの機能を発揮する以外にも、保健休養や教育の場などに利用されています。ぜひ故郷の山を守り、担い手を育て、「癒しの里」きくちを維持していただきたいと思います。
それから、アンケートについてですが、やはり現実は厳しい状況だと思います。また新たにタケノコや椎茸など、そういった被害があるということも、私も改めて理解しました。
 
先ほど鳥獣被害に関する本市の現地調査を行った旨を述べましたが、様々な種類の野生鳥獣が山林から出てきて圃場に侵入し、荒らしている状況を見てきました。地元農家や農業団体職員の話では、金網や電柵については、最初は効果があるように思ったが、後からの効果はちょっと疑問だという声が上がっております。
 
また、アナグマが金網の下を掘って侵入し、その後、イノシシがその穴を利用して侵入したり、壊したり、飛び越えているのですかね、飛び越えたりしている。電気柵についても壊された形跡はないのに、鳥獣が圃場に侵入し、作物を食い荒らしていると いうところもたくさんありました。
このように、金網や電柵の効果に私は疑問がありますが、本市での認識はどうでしょうか。
 
それから、若者が参入しやすい環境の整備が必要だと考えます。わなで捕った後、どうするのかが大きな課題だと思います。
4年ほど前に、有志議員で宮城県南部に位置する村田町に、減溶化施設について研修に行かせていただきました。その当時、減溶化施設は全国で2例目でした。村田町ではイノシシを食用とする文化といいますか、習慣が定着しておらず、捕獲したイノシシは現地で埋設をしておられました。
 
捕獲頭数の増加に伴い、捕獲個体埋設のための掘削作業は、捕獲者や埋設処理の補助を行う町役場の担当者にとって大きな負担となっていたそうです。そのため、町では処分方法の軽減が大きな課題でした。
そこで、捕獲個体をできるだけ解体せず、処理時間があまりかからない処理方法として、減溶化施設を導入したそうです。
村田町では、平成23年度以降、イノシシの生息域が急速に拡大したことを受けて、捕獲を推進したため、捕獲頭数が急増したが、加工処理施設がなく、町の大半が山林地域のため掘削機が入れず、手作業での埋設が多くなり、捕獲後の埋設能力が課題だったそうです。
 
できるだけ捕獲者の負担を軽減し、捕獲に集中できる環境を整備することを目指し、解体ではなく、分解処理できる施設を導入するに至ったそうです。
取組のポイントとしては、鳥獣捕獲後の解体の必要がなく、処理時間がかからないとのこと、というのも、捕獲した個体を解体することなく、そのまま施設に持ち込み処理するため、捕獲者の負担が軽減されるそうです。
また、イノシシの捕獲頭数の増加、これは減溶化処理施設を用いて捕獲後の処理 を効率化したことにより、捕獲頭数も増えたそうです。
さらに、行政担当者や実施 者の意識の変化が起こったそうです。
 
これは埋設処理する穴を掘る手間もなくなり、処理を効率化させることで、実施主体のやる気が高まり、士気が向上したなどが挙げられています。農地を荒らす厄介者を資源化して、循環型社会実現を目指すために、捕獲したイノシシやシカなどの鳥獣を乾燥して肥料などにする減溶化施設を作る考えはありま せんか。
お願いします。

経済部長

それでは、ただいまのご質問にお答えします。
1点目の鳥獣被害を防止するための金網や電柵の効果に疑問がおありとのことで すので、お答えいたします。
まず、日本最大の農業の研究機関であります国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が2012年から5年をかけた調査で、電柵を正しく設置し、草刈りの管理を行うことで被害を低減する効果があることが確認されております。
 
また、現在、国の補助事業で設置している金網や電柵については、国の基準及び補助要件を満たしておりますので、被害を低減する効果があるものと考えております。
しかしながら、効果はあるものの、設置の方法に問題があると考えているところでございます。
 
これらの適切な設置とは、一つ目に、金網の設置に当たっては、表裏の確認や地面との隙間対策をしっかり行い、設置後も定期的に確認すること。二つ目に、電気柵の設置に当たっては、原則として365日24時間通電することとし、通電させない時期につきましては電柵線を回収すること。三つ目に、設置後も定期的に除草作業をしっかり行い、漏電を防ぐこと。四つ目に、イノシシの口が届かないように、柵からは1メートル以上離して作物を植えることなどでございます。
 
このような柵の適切な設置と維持管理を行っていかなければ、十分な効果を得ることはできないことになります。これらの侵入防止柵に共通する注意点などについては、今後、広報、ホームページ、講演会などによって、広く周知していきたいと考えております。
 
続きまして、2点目の捕獲した鳥獣の減溶化施設を市で建設してはどうかとのご質問にお答えいたします。現在、市では捕獲された鳥獣の処分方法については、捕獲者自身が、主に法令に基づき埋設処理されているところでございます。
県内の鳥獣の減溶化施設の設置状況につきましては、公設では天草市が、また、民間では宇城市の「くまもと☆農家ハンター」が設置されていることを確認しております。
電気料の高騰など運営費の課題なども聞いておりますが、まずは、先進地の事例などを調査して研究したいと考えております。
 
なお、本市より1時間以内で行けるジビエ加工処理施設が日田市の上津江にございます。こちらは経営難で公設のジビエ加工処理施設を休業しておりました日田市が、昨年の10月から民間の力を借りて指定管理者制度により再開されたものでございます。
先日、捕獲した鳥獣の買取りについて、本市へご案内がありましたので、市の鳥獣捕獲協議会をはじめ、捕獲した鳥獣の処分にお困りの方がいらっしゃいましたら、ご紹介していきたいと考えております。
以上、お答えいたします。

後藤議員

ジビエとして活用していただけたらと思います。
今、地元の猟友会の皆様には、しっかりと頑張ってもらっておりますが、一方で、食用に向かない6月の繁殖期、この対策をしないと、個体数は減っていかないと考えます。
解体や埋却には大きなコスト、それからマンパワーが必要になってきます。多くの市民が参入できる取組が、今、必要だと思います。
 
野生鳥獣による森林被害は、造営林や適切な森林管理の整備の実施に支障を及ぼし、森林所有者の森林経営意欲を低下させるとともに、土壌流出等により、森林の有する公益的機能の発揮に影響を与えるおそれがあります。森林整備と鳥獣対策はつながりが深いと考えます。
これからも継続的に有効な対策をお願いいたします。

後藤議員

次の質問に移ります。
3点目は、公営霊園について質問します。
 
公営霊園は、都道府県、市区町村などの地方自治体、地方公共団体、自治体が管理運営している霊園のことです。また、自治体から委託された企業や財団法人などが管理や運営を行っている場合もあります。
公営霊園以外の霊園には、民営霊園や寺院霊園などがあります。 民営霊園の特徴は、お客様の要望に柔軟に応えられるといった点があります。また、寺院墓地については、葬儀や法要など、お墓だけでなく、人生のライフエンディングに関わる宗教的なサポートを受けられるといった特徴があります。
 
一般的には民営霊園より公営霊園のほうが使用料や管理料が安くなる傾向があるそうです。もちろん地域や霊園の立地条件、希望する区画の形態などによっては大きな差があります。あくまで目安として費用が抑えられるのは公営霊園のようです。
 
自治体が管理しているため、倒産や廃寺といったリスクは、ほかの霊園や墓地と比べては少ないと言えます。経営主体が安定していることが利用者の安心につながっていくと思います。
もし霊園がなくなれば、高額な永代使用料は戻ってきません。新たに墓地を求める必要も生まれます。そうした点で、経営主体が安定している点は、霊園、墓地を選ぶに当たっても非常に重要です。公営霊園は、その自治体に住んでいる人であれば、宗派などにかかわらず利用できます。
 
宗旨、宗派、宗教の縛りはなく、宗教的な制限がないというのは、公営霊園の大きなメリットの一つと言えるでしょう。公営霊園でお墓を建てる場合、依頼する石材店を指定されることはありません。石材店の比較検討の幅も広がり、コストを抑えることができます。
また、オリジナルな形の墓石を作りたい場合などといったことが得意な石材店に依頼ができます。石材店の指定がなく、墓石を選ぶ際の自由度が多いというのは、公営霊園の魅力の一つだと考えられます。
 
熊本県内に公営霊園を有する自治体は14あるそうですが、県内では約3割の市町村が公営霊園を有しています。
本市の隣の熊本市、それから山鹿市も公営霊園が あるようです。
熊本市にある公営霊園の例ですが、熊本市に住民登録をされている方で、祭祀の主宰者であること。現在遺骨を有していない方で、将来、祭祀の主宰者となる予定の方も応募可能。墓地使用許可後、3年以内に墓碑を建立すること。
3年以内に墓碑を建立しないときは、使用許可が取消しとなる。応募は1世帯1区画。管理料はなく、分譲ではないので、土地の名義は熊本市のまま、これは熊本市の一例ですが、こういった公営霊園があったらいいという声がありましたので、質問します。
本市は公営霊園について、どのような考えがありますか。また、課題があれば教えてください。また、今まで公営霊園について、本市に話題が上がったり、調査・ 研究を行ったり、検討したことはありますか。また、あれば、その内容を教えてください。

市民環境部長

それでは、ただいまのご質問にお答えいたします。
 
本市の現状としまして、遺骨につきましては、菊池市墓地等許可事務処理要領及び関係法令の規定に基づき設置されております宗教法人や各行政区等が経営されている納骨堂への収蔵及び管理組合等が経営する墓地へ埋葬されております。
 
議員ご質問のとおり、現状におきまして、本市が主体となり経営する墓地や納骨堂はございません。また、皆様からのご要望等もほとんどないため、これまで、公営霊園の設置に関する具体的かつ詳細な協議、検討は行われていないところでございます。
 
また、市で公営霊園を設置した場合のメリットとして考えられるものとしましては、地方自治体が経営するということで、永続性、安心感が得られることが挙げられます。
また、デメリットとしましては、本市による霊園敷地の選定及び確保が困難であることや、恒久的な施設の維持管理及び運営経費などのコストの問題が考えられております。
以上、お答えいたします。

後藤議員

今まで検討したこととか、そういったお話が上がってきたことはないということでしたが、私のところにはそういった声が少し入ってきました。
 
市民や移住定住者、移住予定者、それから、本市の移住について興味を持っている方に向けてアンケートや、どうだろうかという意識調査のようなものを行う考えはないでしょうか。
お願いします。

市民環境部長

ただいまのご質問にお答えいたします。
 
公営霊園設置に関しましては、今後、市民の皆様からご意見やご要望等がありました場合は、現に公営霊園を設置しているほかの自治体の情報収集などによる霊園経営に伴う現状・課題等を精査しながら、調査・研究を行ってまいりたいと考えております。
 
また、同様に、アンケート調査につきましても、移住定住のつながりも含めて、 調査・研究を行ってまいりたいと考えております。
以上、お答えいたします。

公営霊園があることで、移住定住につながればとの思い で質問をいたしました。

また、少数ではありますが、そういった希望を持つ市民がいらっしゃるのも事実です。この機会に調査・研究をしていただければと思います。

最後になりますが、今年度で定年を迎える職員の皆様方に敬意と感謝を申し上げまして、私の一般質問を終わります。

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